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5月に飲みたい日本ワイン、2本。新宿三丁目のビストロが今月選んだ岩手の赤と伊豆のロゼ

2026/04/30

5月になると、飲みたいワインが変わる。

冬の重いフルボディはもう重い。でも夏の泡にはまだ早い。新緑の夜風と、少し肌寒い5月の夜に合う一本——そのちょうどいい場所にあるのが、今月やみつきビストロのカウンターに並ぶ2本だ。

どちらも日本ワイン。どちらも、ラベルの向こうに産地の景色が見える。


1本目|岩手・陸前高田から届く赤。神田葡萄園「THE RIAS WINE N6 ベリールージュ 2023」

岩手県陸前高田市、三陸海岸に面した小さな農場で育てられたブドウだけで造られる赤ワインだ。キャンベルを主体に、マスカットベーリーAと山ブドウを少量ブレンドしたライトボディ。アルコール度数は11%と低く、渋みはほぼゼロ。

グラスに注ぐと、イチゴとラズベリーを思わせるフレッシュな香りが立ち上がる。熟成にオークチップを使っているため、バニラのようなやわらかい余韻もある。口当たりは柔らかく、するりと喉を通る。「赤ワインが苦手」という人にこそ試してほしい一本だ。飲み頃は12度前後。少し冷やすことでベリーの爽やかさが際立つ。

造り手の神田葡萄園は「山海陸前宝を贈る」という言葉を掲げている。陸前高田の風土に根ざしたブドウで、その土地だけが出せる味を造るという意志が一本の瓶に込められている。

やみつきビストロでは、パテ・ド・カンパーニュや季節の前菜と合わせたい。重すぎない料理と、軽やかな赤の組み合わせ——5月の夜にちょうどいい温度感がある。


2本目|巨峰の故郷は、実は伊豆だった。中伊豆ワイナリー「巨峰ロゼ NAKAIZU Kyoho Rose」

「巨峰といえば山梨」と思っている人がほとんどだと思う。でもそれは半分しか正しくない。

巨峰が誕生したのは1919年、静岡県伊豆市だ。研究と試行錯誤の末に伊豆で生まれ、その後、気候・土壌の研究が進んで山梨のほうが栽培適地だとわかり、生産の中心は山梨へと移った。伊豆で生まれた巨峰が、旅をして山梨に根を張った。

そして今、山梨県産の巨峰100%を使って、伊豆のワイナリーがロゼを造っている。「巨峰が旅をして、異郷に根を張って帰ってきた」——造り手はそう表現する。

グラスに注ぐと、琥珀がかったサーモンピンクが目に入る。香りはラズベリーと若干のプラム、甘酸っぱいベリーが上品に立ち上る。口に含むと最初に爽やかな酸が来て、そのあとにじんわりと甘みが広がる。飲み終えた後に「もう一杯」と手が伸びる設計だ。造り手が「ふわっと差し込む太陽みたいな、ホッとするワイン」と表現するのがよくわかる。

なお、これは限定品だ。今季分が終われば補充はない。今年の巨峰で造られたこのビンテージは、今だけのものだ。

料理との相性は自家製ミートソースグラタンが特に良い。トマトの酸味とロゼの爽やかな酸が共鳴して、互いを引き立て合う。


2本を並べると、5月の夜が完成する

岩手の軽やかな赤でスタートして、伊豆の甘口ロゼで締める。あるいは逆でもいい。どちらもグラス一杯900円から注文できるため、飲み比べながら好みを探せる。

シェフに「今日の料理に合わせるなら」と一言聞けば、その日の仕入れに合わせた一皿を出してもらえる。それがこの店の使い方として、たぶん一番正解に近い。

新宿三丁目駅から徒歩1分、要会館ビル5階。予約は食べログまたは電話(03-6273-2014)にて。